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2018年2月16日金曜日

レジーヌ・クレスパン Régine Crespin 賛

レジーヌ・クレスパンは実にいい。一年より少し前だったか、彼女のフォーレシューマンに惚れ惚れしたのだけれど、ベルリオーズの「夏の夜」もとってもいい。

むかしの名高い歌手の多くはひどくウマいとは感じながら、大時代的すぎてやや抵抗がある時があるのだけれど、クレスパンの滑らかで澱みのない澄んだ声にはその抵抗がまったくなく、とてもモダンだ。

◆Régine Crespin-"Le Spectre de la Rose 薔薇の精"- Nuits d'été




ーーいやあボクの恋人、ベルナルダ・フィンク Bernarda Finkは(この曲にかんしては)ぜんぜん負けている・・・


◆Berlioz/Ravel - Les Nuits d'été/Shéhérazade (Century's recording : Régine Crespin/Ansermet)




ーー冒頭のベルリオーズもそうだけれど、ドビュッシーの『ビリティスの3つの歌
Trois chansons de Bilitis 』の二曲目 「La Chevelure 髪」(49:09)なんてクラクラしそうになる。

とはいえ、この曲はAnne Sofie von Otterでしか聴いたことがなかったのだけれど、いまいくらか当ってみると、冥界を彷徨うような Eileen Farrell もひどくいいな・・・

◆Eileen Farrell sings Debussy's "La Chevelure"



アイリーン・ファーレル Eileen Farrell バッハのBWV127で、ボクの記憶に強く残っている歌手ではあるけれど、それ以外は(たぶん、まともには)聴いたことがなかった。

◆Eileen Farrell sings Bach - Cantatas 79 and 127



ーーとはいえ、今聴くと、 Herrewegheととものドロテー・ミールズ Dorothee Mieldsのほうが、今のわたくしには(リズムの喜び、軽やかさの喜びがあって)馴染むな。

なにはともあれアイリーン・ファーレルの歌う冒頭の(BWV127の三曲目)の「魂はイエスの御手に憩うて Die Seele ruht in Jesu Handen」は、マタイの 「愛ゆえに 我が救い主は死に給う Aus Liebe will mein Heiland sterben」 と『結婚カンタータ』BWV202 冒頭の「しりぞけ、もの悲しき影 Weichet nur, betrübte Schatten」と同じくらいの至高のソプラノアリアだというのは、ま、いわば定説である(すくなくともボクの)。

というわけで、結局バッハが好きなんだけどさ、バッハを歌わないレジーヌ・クレスパンだってとってもいいさ。