このブログを検索

2014年12月12日金曜日

理屈は巧妙に付いている様な事を言う所謂頭のいい人

「頭脳明晰な」経済学者の「放言」にて、小林秀雄=林房雄の《浅薄な誤解というものは、ひっくり返して言えば浅薄な人間にも出来る理解に他ならないのだから、伝染力も強く、安定性のある誤解で、釈明は先ず覚束ないものと知らねばならぬ》と引用した。あるいは、《発見は少しもないが、理屈は巧妙に付いている様な事を言う所謂頭のいい人が現れる》とも引用した。

その例をあげようかと思って、思い留まったが、たとえば次ぎのようなことをいう連中は、ツイッターには山といる。

山崎 雅弘@mas__yamazaki: 「経済状況が芳しくないから10%への税率UPを延期する」ことの是非が争点のように報じられているが、「芳しくない経済状況」を招いた要因が円安誘導政策や8%への増税だとしたら、その政策をまず「失敗」と評価するのが先だろう。政府が失敗しても、失敗を「失敗」と評価されず責任も問われない。
大島堅一@kenichioshima: 消費税税率を絶対上げますというのが公約なわけですね。これには同意できないですね。社会保障充実や財政再建の解決策として、なぜ消費税増税だけが選択肢になるのだろう。他にもいろんな選択肢があるのに。朝日新聞なども含めて、そういう自己催眠に陥っているようです。

このツイート自体には、さほど文句をいうつもりはないが、この呟き前後を眺めても、彼らは財政逼迫や社会保障費などをめぐっては何も言ってはいない。もっとも彼らを「正しい心を抱いて邪な行為をする」(シェイクスピア=ジジェク)であると断言するのはやめておこう。だが、どこか肝心なところを外しているという錯覚にわたくしは閉じこもってしまう。

この二人の名は國分功一郎氏のリツイートによって知ったのだが、彼は最近用心深く、わたくしがざっと見渡した範囲では、次ぎの程度のことしか言っていない。これも「正論」である。そして《発見は少しもないが、理屈は巧妙に付いている様な事を言う所謂頭のいい人》であるかどうかは知るところではない。


富んだ者たちを優遇する経済政策が採用され、貧しく弱い立場にいる人たちが公共の給付を受けることに社会は理解を示さない。(【総選挙2014】亡命はなぜ難しいのか?

このエッセイのテーマは「政治」への危機感を語っているので、文句をいうつもりもない。だが、経済への、あるいは財政への危機感は、いまだ思いの外欠けているようにわたくしは感じてしまう。

ところで、 柄谷行人やジジェクなどの見解では、政治の危機とは、経済の危機から生れると読みうる、→「ファシズム、ケインズ主義の回帰